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ニュースリリース

新型コロナウイルス感染症とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ に関する政策概要

2020年10月08日
私たちが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のことを初めて耳にしてから9カ月。その世界的大流行(パンデミック)は190カ国で100万人以上の命を奪い、3,000万人を超える感染者を出しました。感染はさらに広がり、第2波や第3波を示す不穏な兆候も現れています。

新型コロナウイルスについては、まだよく知られていませんが、確かなことが一つあります。世界は準備不足だったということです。パンデミックによって、医療制度の甚だしい不備や社会的保護の著しい格差、さらには国内と国家間の大きな構造的不平等が露呈しました。

私たちはこの危機から、苦い教訓を学ばねばなりません。こうした教訓の一つとして、健康への投資をおろそかにすれば、社会と経済に破壊的な影響が及ぶことが挙げられます。パンデミックによるグローバル経済の損失は、1カ月で3,750億ドルに上ります。これまでに約5億人分の雇用も失われました。人間開発は、私たちが1990年に測定を始めて以来、初の後退を強いられる見込みです。

COVID-19はコミュニティー、経済、そしてあらゆる人にとって、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と充実した公衆衛生制度、緊急事態への備えが欠かせないことを明らかにしました。

私たちがきょう発表する政策概要の背景には、こうした事情があります。世界人口の少なくとも半数は、必要な医療サービスを受けられていません。医療費が高額に上ることで、毎年約1億人が貧困に陥っています。

このような健康保障の大きな格差は、COVID-19がこれほどの苦痛と被害をもたらした原因の一つです。UHCを実現するためには、各国政府が監視やリスク伝達を含めた健康のための公共財に投資し、世界がこのような状況に再び直面しなくて済むようにしなければなりません。

また、金銭的障壁のない、包摂的で公平な公衆衛生プログラムも必要です。財務状況によって治療方法が変わるべきではありません。すべての国は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の一環として、UHCを目指すことで合意しました。

しかし、そのために10年も待つことはできません。COVID-19パンデミックへの対策を強化し、将来の危機に備えるためには、メンタルヘルスを含むUHCが今すぐ必要です。これは、今回の政策概要に含まれる5大提言の一つにすぎません。

2つ目の提言は、実証済みの公衆衛生措置と協調的なグローバル対応を通じ、COVID-19のさらなる感染を抑えることです。

3つ目の提言は、パンデミックの中でも他の医療サービスの提供を守ることです。COVID-19は、その感染者だけでなく、心臓病やがん患者の命も間接的に奪っています。また、メンタルヘルス・サービスや、性と生殖に関する健康プログラムへのアクセスをおろそかにすることもできません。

4つ目に、今後提供されるCOVID-19ワクチンや検査、治療をどこでも、誰でも利用できるようにする必要があります。画期的なACTアクセラレーターへの投資は、パンデミックに最も早く終止符を打てる手段です。

そして5つ目に、私たちは準備態勢を強化せねばなりません。そのためには、社会のすべての部門を巻き込み、保健機関による対策の引き金となる警報システムに投資することが必要です。

パンデミックへの備えと対応は、多額の投資を要するグローバルな公共財です。UHCには費用が伴います。しかし代替策に比べれば、その値段は安くつきます。私はあらゆる方面に対し、今すぐUHCと医療制度強化への投資を加速、増額するよう強く訴えたいと思います。


(アントニオ・グテーレス 国連事務総長メッセージより)