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ニュースリリース
ウクライナ情勢
2022年03月14日
ウクライナが燃えています。ウクライナは世界の目の前で、破壊されています。民間人に対する影響は、恐るべき度合いに達しています。女性と子どもを含む、数えきれない無実の市民が殺されています。ロシア軍の襲撃を受けた道路、空港、学校は、瓦礫と化しています。世界保健機関(WHO)によると、少なくとも24カ所の医療施設が攻撃を受けました。何十万もの人々が、水や電気の供給を絶たれています。
時間の経過とともに、2つのことがより明らかになっています。1つ目は、事態は悪化の一途をたどっているということ、2つ目は、結果の如何にかかわらず、この戦争に勝者はなく、敗者しかいないこと。
国連と人道支援のパートナーは、包囲された地域からの安全な避難路を確保し、安全面で許される限り支援を提供できるよう取り組んでいます。60万を超える人々が、何らかの形で支援を受けました。
ウクライナの何百万もの人々が、空腹と、水や医薬品の供給不足に直面している中、私は本日、最も脆弱な立場に置かれた人々の命に係わる支援を強化するために国連は中央緊急対応基金(CERF)からさらに4,000万ドルを計上し、これに続く国々を待つことを発表します。この資金は、食料、水、医薬品などの極めて重要な物資やその他の救命援助をウクライナに届け、困窮者に現金を支給することに役立ちます。
しかし、包囲された街につながる経路は、日に日に危険度が増しています。私は、国際人道法を尊重することが極めて重要であることを強調します。少なくとも190万人が国内で避難しており、国外に避難する人々はさらに増えています。私は、この2週間で280万人を超える難民を受け入れている、ウクライナの隣国とその他の受け入れ国の連帯に、深く感謝しています。
危険な旅を強いられている人々の大多数は、ますます脆弱な立場に置かれている女性たちや子どもたちです。略奪者や人身売買業者にとって、戦争は悲劇ではありません。またとない好機なのです。そして、女性や子どもがそのターゲットです。女性たちと子どもたちは、あらゆる局面で安全と支援を必要としています。
私は、本日もまたそうしているように、ウクライナの人々の絶望的な窮状を訴え続けます。しかし、この戦争は、不明瞭になりがちなもう一つの側面を持っています。この戦争の範囲は、ウクライナをはるかに超えていきます。これは、世界で最も脆弱な立場に置かれた人々や国々に対する攻撃でもあります。ウクライナに戦争の雨が降る中、世界経済、特に開発途上国に対して一触即発の危険が迫っています。
紛争が始まる前でさえ、開発途上国は記録的なインフレ、金利の上昇、迫り来る債務負担によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)からの復興に苦慮していました。開発途上国の対応能力は、資金調達コストの急激な上昇によって失われました。そして今、これらの国々の穀倉地帯が爆撃を受けています。
ロシアとウクライナは、ひまわり油の世界供給量の半分以上を担い、小麦は約30パーセントに相当します。ウクライナ単独で、世界食糧計画(国連WFP)の小麦供給量の半分以上を提供しています。食料、燃料、肥料の価格が急騰しています。サプライチェーンが混乱しています。また、輸入品が入手可能な場合であっても、輸送の費用と遅延は記録的水準にあります。これらすべてが、最貧層に最も大きな打撃を与え、世界中で政情不安や混乱の種を蒔いています。
穀物の価格は、「アラブの春」の初期や2007年から2008年にかけての食料暴動における価格をすでに上回っています。国連食糧農業機関(FAO)の世界食料価格指数は、過去最高になっています。アフリカと後発開発途上国の45カ国が小麦の少なくとも3分の1を、そしてそのうち18カ国は50%以上を、ウクライナまたはロシアから輸入しています。ブルキナファソ、エジプト、コンゴ民主共和国、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンなどです。
私たちは、飢餓の嵐と世界の食料システムの溶解を避けるために、できることはすべてしなければなりません。さらに、私たちはこの戦争が、対応を切実に必要としている問題を抱えた他の地域から、資源と関心を奪っている明白な証拠を目の当たりにしています。
私は各国に対し、世界中で増加する人道面と開発面での復興のニーズに資金を充当するための創造的な方法を見つけ出し、誓約した資金を直ちに寛容に提供することを、改めて呼びかけます。指導者たちに私が訴えたいのは、政府開発援助と気候行動を犠牲にして軍事予算を増やすという誘惑には抵抗してほしいということです。一言で言えば、開発途上国が日に日に痛めつけられています。
開発途上国は、次々にやって来る危機に直面しています。ウクライナ戦争だけでありません、COVID-19や気候変動の影響、特に干ばつも忘れてはなりません。これらの相互に連鎖する極めて大きな課題を踏まえ、私は本日、「食料、エネルギー、資金に関するグローバル危機対応グループ」を国連事務局に設置することを発表します。また、私は副事務総長に対し、パートナーとともに機関間運営委員会を主導して、この取り組みを監督するように依頼しました。
今後数日のうちに、私たちは、これらの迫り来る危機に対するグローバルな緊急対応を前に進めるために必要な行動を支持する意思のある加盟国とともに、意見交換を行います。確実なことは、人々、特に女性たちや子どもたちが、次々に明らかになるこの悲劇の矢面に立たされるということです。この戦争は、世界が化石燃料に依存することで、エネルギー安全保障、気候行動、世界経済全体が、いかに地政学的な要因に左右されるのかも明らかにしています。
最後に、偶然であれ意図的であれ、戦争がさらに拡大すれば、人類全体への脅威となります。ロシアの核戦力を念頭にした警戒態勢の引き上げは、骨まで凍り付くような事態です。かつては考えられなかった核兵器を使った紛争が、可能性があるところにまで戻ってきたのです。核施設の安全保障と安全も、維持されなければなりません。今こそ、ウクライナの人々に襲いかかっている恐怖を止め、外交と平和に向かって歩を進めるときです。
私は、この戦争を終結させるための調停活動において、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、トルコなど多くの国々と、緊密に連携しています。平和を求める訴えに、耳を傾けなければなりません。この悲劇を止めなければなりません。外交や対話に遅すぎるということなど、決してありません。
私たちは直ちに戦闘を停止し、国連憲章と国際法に基づく真剣な交渉を行う必要があります。私たちには、平和が必要です。ウクライナの人々に平和を。世界に平和を。今すぐ、平和が必要なのです。
(アントニオ・グテーレス 国連事務総長メッセージより)
時間の経過とともに、2つのことがより明らかになっています。1つ目は、事態は悪化の一途をたどっているということ、2つ目は、結果の如何にかかわらず、この戦争に勝者はなく、敗者しかいないこと。
国連と人道支援のパートナーは、包囲された地域からの安全な避難路を確保し、安全面で許される限り支援を提供できるよう取り組んでいます。60万を超える人々が、何らかの形で支援を受けました。
ウクライナの何百万もの人々が、空腹と、水や医薬品の供給不足に直面している中、私は本日、最も脆弱な立場に置かれた人々の命に係わる支援を強化するために国連は中央緊急対応基金(CERF)からさらに4,000万ドルを計上し、これに続く国々を待つことを発表します。この資金は、食料、水、医薬品などの極めて重要な物資やその他の救命援助をウクライナに届け、困窮者に現金を支給することに役立ちます。
しかし、包囲された街につながる経路は、日に日に危険度が増しています。私は、国際人道法を尊重することが極めて重要であることを強調します。少なくとも190万人が国内で避難しており、国外に避難する人々はさらに増えています。私は、この2週間で280万人を超える難民を受け入れている、ウクライナの隣国とその他の受け入れ国の連帯に、深く感謝しています。
危険な旅を強いられている人々の大多数は、ますます脆弱な立場に置かれている女性たちや子どもたちです。略奪者や人身売買業者にとって、戦争は悲劇ではありません。またとない好機なのです。そして、女性や子どもがそのターゲットです。女性たちと子どもたちは、あらゆる局面で安全と支援を必要としています。
私は、本日もまたそうしているように、ウクライナの人々の絶望的な窮状を訴え続けます。しかし、この戦争は、不明瞭になりがちなもう一つの側面を持っています。この戦争の範囲は、ウクライナをはるかに超えていきます。これは、世界で最も脆弱な立場に置かれた人々や国々に対する攻撃でもあります。ウクライナに戦争の雨が降る中、世界経済、特に開発途上国に対して一触即発の危険が迫っています。
紛争が始まる前でさえ、開発途上国は記録的なインフレ、金利の上昇、迫り来る債務負担によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)からの復興に苦慮していました。開発途上国の対応能力は、資金調達コストの急激な上昇によって失われました。そして今、これらの国々の穀倉地帯が爆撃を受けています。
ロシアとウクライナは、ひまわり油の世界供給量の半分以上を担い、小麦は約30パーセントに相当します。ウクライナ単独で、世界食糧計画(国連WFP)の小麦供給量の半分以上を提供しています。食料、燃料、肥料の価格が急騰しています。サプライチェーンが混乱しています。また、輸入品が入手可能な場合であっても、輸送の費用と遅延は記録的水準にあります。これらすべてが、最貧層に最も大きな打撃を与え、世界中で政情不安や混乱の種を蒔いています。
穀物の価格は、「アラブの春」の初期や2007年から2008年にかけての食料暴動における価格をすでに上回っています。国連食糧農業機関(FAO)の世界食料価格指数は、過去最高になっています。アフリカと後発開発途上国の45カ国が小麦の少なくとも3分の1を、そしてそのうち18カ国は50%以上を、ウクライナまたはロシアから輸入しています。ブルキナファソ、エジプト、コンゴ民主共和国、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンなどです。
私たちは、飢餓の嵐と世界の食料システムの溶解を避けるために、できることはすべてしなければなりません。さらに、私たちはこの戦争が、対応を切実に必要としている問題を抱えた他の地域から、資源と関心を奪っている明白な証拠を目の当たりにしています。
私は各国に対し、世界中で増加する人道面と開発面での復興のニーズに資金を充当するための創造的な方法を見つけ出し、誓約した資金を直ちに寛容に提供することを、改めて呼びかけます。指導者たちに私が訴えたいのは、政府開発援助と気候行動を犠牲にして軍事予算を増やすという誘惑には抵抗してほしいということです。一言で言えば、開発途上国が日に日に痛めつけられています。
開発途上国は、次々にやって来る危機に直面しています。ウクライナ戦争だけでありません、COVID-19や気候変動の影響、特に干ばつも忘れてはなりません。これらの相互に連鎖する極めて大きな課題を踏まえ、私は本日、「食料、エネルギー、資金に関するグローバル危機対応グループ」を国連事務局に設置することを発表します。また、私は副事務総長に対し、パートナーとともに機関間運営委員会を主導して、この取り組みを監督するように依頼しました。
今後数日のうちに、私たちは、これらの迫り来る危機に対するグローバルな緊急対応を前に進めるために必要な行動を支持する意思のある加盟国とともに、意見交換を行います。確実なことは、人々、特に女性たちや子どもたちが、次々に明らかになるこの悲劇の矢面に立たされるということです。この戦争は、世界が化石燃料に依存することで、エネルギー安全保障、気候行動、世界経済全体が、いかに地政学的な要因に左右されるのかも明らかにしています。
最後に、偶然であれ意図的であれ、戦争がさらに拡大すれば、人類全体への脅威となります。ロシアの核戦力を念頭にした警戒態勢の引き上げは、骨まで凍り付くような事態です。かつては考えられなかった核兵器を使った紛争が、可能性があるところにまで戻ってきたのです。核施設の安全保障と安全も、維持されなければなりません。今こそ、ウクライナの人々に襲いかかっている恐怖を止め、外交と平和に向かって歩を進めるときです。
私は、この戦争を終結させるための調停活動において、中国、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、トルコなど多くの国々と、緊密に連携しています。平和を求める訴えに、耳を傾けなければなりません。この悲劇を止めなければなりません。外交や対話に遅すぎるということなど、決してありません。
私たちは直ちに戦闘を停止し、国連憲章と国際法に基づく真剣な交渉を行う必要があります。私たちには、平和が必要です。ウクライナの人々に平和を。世界に平和を。今すぐ、平和が必要なのです。
(アントニオ・グテーレス 国連事務総長メッセージより)