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ニュースリリース
国連『世界経済状況・予測2024』報告書
2024年01月12日
世界経済の成長率は2023年の推計2.7%から2024年には2.4%に鈍化する見通しであり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック前の成長率である3.0%を下回る見込みであると、本日発表された国連の『世界経済状況・予測2024(World Economic Situation and Prospects (WESP) 2024)』報告書は指摘している。この最新の予測は、2023年の世界経済のパフォーマンスが予想を上回ったことを受けて発表されたものである。しかし、昨年のGDP成長率が予想を上回ったことで、短期的なリスクや構造的な脆弱性が覆い隠される格好となった。
この国連の主要な経済報告書は、当面の経済見通しが厳しいものであることを示している。継続的な高金利、紛争のさらなる激化、国際貿易の低迷、気候関連災害の増加が、世界の成長にとって大きな課題となっている。
金融引き締めと借入コスト上昇の長期化見通しが、負債を抱えた世界経済にとって強い逆風となる中で、成長を回復させ、気候変動と闘い、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた前進を加速させるための、さらなる投資が必要になっている。
高金利、個人消費の鈍化、労働市場の低迷を受けて、米国をはじめとするいくつかの主要先進国の経済成長は、2024年に減速する見通しである。多くの開発途上国、特に東アジア、西アジア、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の短期的な成長見通しも、金融引き締め、財政余地の縮小、外需の低迷によって悪化している。脆弱な低所得国は、収支の逼迫度や債務の持続可能性リスクの増大に直面している。とりわけ小島嶼開発途上国の経済見通しは、重い債務負担、高金利、気候関連の脆弱性の増大によって制約を受けることが予想されるため、これまでに得たSDGsの前進が阻害され、場合によっては逆行するおそれもある。
世界のインフレ率はさらに低下し、2023年の推計5.7%から2024年には3.9%となる見込みである。一方で、物価圧力は多くの国で依然として高まっており、地政学的紛争リスクがさらに高まれば、インフレ率が再び上昇するおそれがある。
報告書によると、2024年のインフレ率は、開発途上国の約4分の1で年率10%を超える見通しである。2021年1月以降、開発途上国の累積の消費者物価上昇率は21.1%に達し、COVID-19からの復興に伴う経済的利益が大きく損なわれた。供給サイドの混乱、紛争、異常気象の中、多くの開発途上国で地域の食料価格のインフレが高止まりし、最も貧しい世帯に不当に大きな影響を及ぼしている。
世界の労働市場では、パンデミック危機からの復興にばらつきが見られる。先進国では、成長こそ鈍化しているものの、労働市場はレジリエンス(強靱性)を維持している。一方で、多くの開発途上国、特に西アジアとアフリカにおいては、失業率などの主要な雇用指標がいまだにパンデミック前の水準には戻っていない。世界では男女の雇用格差が依然として大きく、男女間の賃金格差が根強く残っているばかりか、職業によっては拡大さえしている。
世界的な金融引き締めが続く際は、各国政府は自滅的な財政再建を避け、成長を刺激するための財政支援を拡大させる必要がある。各国の中央銀行は、インフレ、成長、金融安定など目標間のバランスを取る上で、引き続き、難しいトレードオフに直面している。特に、開発途上国の中央銀行は、マクロ経済政策やマクロプルーデンス政策の手段を幅広く展開して、先進国の金融引き締めの悪影響が波及するのを最小限に抑える必要がある。
さらに報告書は、債務危機を回避し、開発途上国に十分な資金を供給するためには、強固で効果的なグローバル協力イニシアティブが今すぐ必要であると強調してる。脆弱な財政状況にある低・中所得国については、投資の低迷、低成長、大きな債務返済負担というサイクルの長期化を避けるために、債務免除や債務再編を実施する必要がある。
加えて、世界的な気候変動対策資金の規模を大幅に拡大させなければならない。世界各地で気候行動を強化するためには、化石燃料への補助金を削減して最終的には廃止すること、開発途上国を支援するための1,000億ドルの誓約などの国際的な資金拠出の約束を最後まで守ること、そして技術移転を推進することが不可欠である。報告書はまた、イノベーションを推進して生産能力を強化し、レジリエンスを構築し、グリーン移行を加速する上で、産業政策が果たす役割がますます大きくなっていることも強調している。
この国連の主要な経済報告書は、当面の経済見通しが厳しいものであることを示している。継続的な高金利、紛争のさらなる激化、国際貿易の低迷、気候関連災害の増加が、世界の成長にとって大きな課題となっている。
金融引き締めと借入コスト上昇の長期化見通しが、負債を抱えた世界経済にとって強い逆風となる中で、成長を回復させ、気候変動と闘い、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた前進を加速させるための、さらなる投資が必要になっている。
高金利、個人消費の鈍化、労働市場の低迷を受けて、米国をはじめとするいくつかの主要先進国の経済成長は、2024年に減速する見通しである。多くの開発途上国、特に東アジア、西アジア、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の短期的な成長見通しも、金融引き締め、財政余地の縮小、外需の低迷によって悪化している。脆弱な低所得国は、収支の逼迫度や債務の持続可能性リスクの増大に直面している。とりわけ小島嶼開発途上国の経済見通しは、重い債務負担、高金利、気候関連の脆弱性の増大によって制約を受けることが予想されるため、これまでに得たSDGsの前進が阻害され、場合によっては逆行するおそれもある。
世界のインフレ率はさらに低下し、2023年の推計5.7%から2024年には3.9%となる見込みである。一方で、物価圧力は多くの国で依然として高まっており、地政学的紛争リスクがさらに高まれば、インフレ率が再び上昇するおそれがある。
報告書によると、2024年のインフレ率は、開発途上国の約4分の1で年率10%を超える見通しである。2021年1月以降、開発途上国の累積の消費者物価上昇率は21.1%に達し、COVID-19からの復興に伴う経済的利益が大きく損なわれた。供給サイドの混乱、紛争、異常気象の中、多くの開発途上国で地域の食料価格のインフレが高止まりし、最も貧しい世帯に不当に大きな影響を及ぼしている。
世界の労働市場では、パンデミック危機からの復興にばらつきが見られる。先進国では、成長こそ鈍化しているものの、労働市場はレジリエンス(強靱性)を維持している。一方で、多くの開発途上国、特に西アジアとアフリカにおいては、失業率などの主要な雇用指標がいまだにパンデミック前の水準には戻っていない。世界では男女の雇用格差が依然として大きく、男女間の賃金格差が根強く残っているばかりか、職業によっては拡大さえしている。
世界的な金融引き締めが続く際は、各国政府は自滅的な財政再建を避け、成長を刺激するための財政支援を拡大させる必要がある。各国の中央銀行は、インフレ、成長、金融安定など目標間のバランスを取る上で、引き続き、難しいトレードオフに直面している。特に、開発途上国の中央銀行は、マクロ経済政策やマクロプルーデンス政策の手段を幅広く展開して、先進国の金融引き締めの悪影響が波及するのを最小限に抑える必要がある。
さらに報告書は、債務危機を回避し、開発途上国に十分な資金を供給するためには、強固で効果的なグローバル協力イニシアティブが今すぐ必要であると強調してる。脆弱な財政状況にある低・中所得国については、投資の低迷、低成長、大きな債務返済負担というサイクルの長期化を避けるために、債務免除や債務再編を実施する必要がある。
加えて、世界的な気候変動対策資金の規模を大幅に拡大させなければならない。世界各地で気候行動を強化するためには、化石燃料への補助金を削減して最終的には廃止すること、開発途上国を支援するための1,000億ドルの誓約などの国際的な資金拠出の約束を最後まで守ること、そして技術移転を推進することが不可欠である。報告書はまた、イノベーションを推進して生産能力を強化し、レジリエンスを構築し、グリーン移行を加速する上で、産業政策が果たす役割がますます大きくなっていることも強調している。